小函の沢(ペンケヤオロマップ沢・ポンヤオロマップ岳北東面直登沢)

 

小函の沢〜ポンヤオロマップ岳〜ぺテガリ東尾根

2005年9月25日

L金澤弘明 大原成雄

 

 今年の沢は日程的にもう無理かと思っていたが、
1泊なら大原が付き合ってくれると言うので、お盆にやり残した小函の沢をやることにした。

 

9月25日

 ここ数日、気温がぐっと下がり秋の到来と沢シーズンの終了間近を感じさせられる。
早朝に見る小函の沢は水量少なく、ちょっと暗い印象をうける。

 490m二股までいくつか小さな函と滝はあるが、沢は砂利に埋まり難しい所はない。
ずっと以前は岩盤主体の沢だったらしく、その当時は一段難しかったに違いない。
490mで沢が右に曲がると滝が連続するようになるが、同時に流倒木も目立つようになる。
「あぁ滝だ」と思って近づいたら流木に堰き止められた天然の砂防ダムだったりする。
C540m付近の5m滝は左岸をへつるが、かぶった出だしが難しい。
それ以外は問題なく、膝上程度の渡渉がある程度で、遡行が進むうちに水量がだんだん少なくなる。
C620mの2段20mは直登できず、左岸の浅いルンゼ状から巻くが浮石が多く、途中から左へトラバースして落ち口に向かう。
ここを越えるとすぐに
680m二股だ。
核心の
200m連滝があるという左股は沢形が小さく、入り口が滝になっている。

 15分ほども進み、雪崩の集積所になっているC800mで沢形が一瞬開ける。
この時期だというのにけっこうな規模の雪渓の残骸が現れる。
そしてその先に、狭い
V字状の谷に切れ込んだ8連90mが出現する。
水量が少なく高さの割に迫力はないが、メンバーによっては決意のいるところだ。

細い水流沿いを直登する。
全体としてはそう難しくないが、
5段目10mの抜け口直前はホールド乏しく滑りそうで泣きがはいる。
後続する大原も
「悪いわ」
と言うので
「ロープ出そうか?」
と訊くと
「いや大丈夫、行けるわ、でももらうかな」
と言うのでロープを放ってやると、腰にブーリンで縛ってあっさり登ってきやがった。

「クソッ!(やつにはね)、少しは難しそうに登って来んかい!」


最後の8段目はロープをつければ直登できそうだが、シャワーになりそうなので、
左岸の急峻な草付きを登り、落ち口の上部にトラバースする。
V字状地形の奥にいるせいか高度感こそないが、
落ちたらひとたまりもないことは言うまでも無い。
ホールドになる潅木が少なく緊張する。

 短いゴーロと小滝の上にはさらに多段100mが控えている。
これは傾斜が一段緩く難しくないがやや脆く、苔が付いて滑りやすいので慎重さが要求された。

 

これを越すとあとは小滝しかなく、沢形はぐっと小さなものになる。
C1200mを越えると藪漕ぎ模様となって、間もなく沢形も急な斜面に消えて行く。
まっすぐ進めば頂上へは近いが藪漕ぎが長くなるだけで意味もないので、
稜線上の登山道目指して左寄りに急な藪を進むことにする。
所々にある棘の潅木が軍手の手のひらに痛くて気合がのらない。
頂上への最後の急登手前、C
1320m付近に出るが頂上はガスの中、展望は望むべくも無い。
ピークハントは放棄して下降することにしよう。

 


0635登山口より入渓−0810 490m二股−0955 C805m1155稜線12101440登山口下山

 

参考グレード 3級

 

(金澤弘明)