エサオマントッタベツ川札内岳北面〜西面(下降)

 

札内岳北面直登沢(ガケノ沢)〜札内岳〜西面直登沢(山スキー沢)下降

2005年8月28日

金澤弘明(単独)

 

 まともに沢の単独行をするのはこれが初めてだ。
台風の接近で入山できるか怪しかったが、北海道に影響することなく逸れてくれた。
戸蔦別林道は「びれい橋」の少し上流、第6号砂防堰堤横に通行止めの看板があり、ここで車中泊となる。

 


 朝、起きるとすぐ林道の少し先まで歩いて偵察、現在地を確認する。
土砂崩れで路幅が狭くなっているが、行って行けないことはないようだ。
が、それほど距離もないようなので歩いて入山することにする。
車が1台やってきて、十の沢から九の沢を降りるという二人パーティーが、
がっかりした様子でそそくさと出発していった。
出発の準備をしていると渓流ソックスが片方しかないことに気が付く。
「おっかしいなあ、確かに積んだのに」
この片方、右足に履くか左足にするか…迷うぜ。

15分ほどでエサオマントッタベツ沢出合い。
日帰り計画なので時間を稼ぐためエサオマントッタベツ林道の作業道跡を最後まで行き、
720mで入渓。100mほども進むとガケノ沢出合いとなる。
木がかぶさった狭い河原で歩きづらいが、
840m二股を右に入ると直登沢らしくなる。
小振りの滝が続き特に難所もないまま、ぐんぐん高度が上がる。
1400m手前で沢がやや開け、ガケノ沢カール底に出る。
ここから地形図では進路が読みにくいところに入るが、
1370mを左にとり、あとは水量が多く沢形のしっかりした方を選んで進むと1700mで水が涸れ、
潅木を手がかりに急な踏み跡をひとがんばりすると正にピンポイントで札内岳頂上に飛び出す。

天気は晴れて無風で暖かい。
幌尻、ピパイロ、カムエクこそ見えなかったが、
エサオマンから九の沢までの国境稜線が目の前に展開しうれしくなってしまった。
一人っきりの頂上でのんびり過ごしてから降りにかかる。

 

稜線を西に進み肩の下、1760m付近から沢に降りるのだが、
肩からコルにかけて踏み跡は札内川側についている。
コルの手前でかすかに分岐する踏み跡らしきものを見つけ、
行ってみると降り口のピンクテープがあった。
雨が続いた後なのでえらく滑りやすい。急斜面をまっすぐ、
潅木につかまりながら降るがなかなか沢に出ない。
浅い沢形に入ってからは滝の水音が聞こえるのにまだ水が出てこない。
と、C
1550mで突然右岸から水が湧き出している。
えらく冷たくて美味い水だ。

この下に2段7mの滝があり、ここからC1120m付近までナメとナメ滝が途切れることなく連続する。
フェルトのフリクションを試されるような下降が続き慎重に降る。
下降用と思われる残置支点のある
5mの直滝をクライムダウンすると河原状になり、
997mで本流に合流するが、少し前から右膝が痛み出し、
さらに裸足に渓流靴の右足アキレス腱に靴擦れの兆候が・・・長い下りになりそうだ。

車に戻りドアをあけたらそこには忘れたはずの渓流ソックスの片割れがちょこんと、主人の帰りを待っていたのである。

 

0520 行動開始−0620 730m二股−0700 840m二股−0850 1380m二股−1000 札内P 10501115 稜線より下降開始−1325 991m二股−1505 730m二股−1600 車DP

 

参考グレード 北面(ガケノ沢)2級、西面(山スキー沢)2級

 


ガケノ沢は10mに満たない容易な滝ばかりである。
北面なので早い時期にいくと残雪に苦労するよ、といった程度のものなのだろう。

山スキー沢はナメの多い沢で水量次第だろうが、特に困難なところはない。
両沢とも思ったより人が入っているようだ。

(金澤弘明)