ポンヤオロマップ川(ポンヤオロマップ岳南西面直登沢)

 

ポンヤオロマップ川〜ポンヤオロマップ岳〜ぺテガリ東尾根

2005年8月13日〜15日

L金澤弘明 千葉芳弘 大原成雄

 

 ヤオロマップ川の長大な支流、ポンヤオロマップ川は2〜3年前から気になっていた沢だった。
今年、日高の直登沢の多くは残雪があまりに多く遡行の興味が薄いものとなっており、
ここならばあまり残雪も気になるまいと考え資料探しを始めたが、
この沢は「北の山脈」に一度記録が出たのみで、思った以上に資料の少ない沢であった。


 

8月13日

ぺテガリ東尾根登山道から沢沿いに林道跡が延びているが、歩きづらいので適当な所から入渓する。
地形図ではC
500mまで長々と函が続くように見えるが、実際には河原と小規模な函が断続し、以外に飽きさせない。
8月に入ってからの連日の好天で水量は少ないが、沢水はきれいに澄んで美しい。
ただ、所々に釣り師の捨てたゴミが目に付き、マナーの悪さにがっかりさせられる。

先が読めない沢なので、できるだけ進んでC500mの狭い河原にテントを張る。

 

1210 登山口発−1350 409m二股−1610 500mC1


 

8月14日

 テン場を出るとすぐに釜持ちの4m函滝となり右岸を巻く。
続く
12mの函滝は泳げば済んでしまいそうだが、濡れたくないおじさん部隊はこれもあっさり巻いてしまう。
沢は小さく屈曲し、見通しが利かないうえに小沢が頻繁に入り現在地がつかみづらい。
519m二股近辺から沢は廊下状になり、間も無く雪渓にぶつかる。
たいした雪渓ではないが「くの字」に曲がって中には小さな滝があるようだ。
トンネルの中は霧が滞留し、先が全く見えないので下を行くには不安がある。
左岸から雪渓上に乗り通過する。小ぶりな函滝が次々に現れるがへつりでたいてい中を行ける。

 590m二股からは右股正面に高さ100m以上はありそうな大岩壁が見上げられ、
その下にあるはずの大滝を想像するといやでも不安になるところだ。
右股に入り小滝を二つ登ると大障壁に阻まれ、直角に左折した先に大滝が見える。
5段ほどになった大滝の落差は
100m程もあるだろうか。
カメラを出す間も無く、先を行く大原が水流脇を右岸から左岸、
そして右岸へとスイスイ直登して行く。
千葉さんと
「おいおいロープもつけずに平気かよ?」
と言ってたら
「快調だよ!」
とのコールがある。
見た目ほど難しくはないがかなりの高度感があり、気分は西壁正面ってとこかな?
 最上段の
30mは傾斜が強く、落ち口は放物線になっていて、ここは左岸の急峻なブッシュを腕力で登る。

大滝の上で沢形は少し浅くなり核心は過ぎたかと思わせるが、滝はまだまだ続いている。
750m二股を中央のルンゼ状から乗越し、小さいながら手応えのある函滝を過ぎると倒木が重なっている。
960m三股を中股に入るとさすがに源頭近しを思わせるが、思い出したように現れる滝は気を抜けるほど易しくはない。
尾根が近づき沢形が消えると露岩混じりのブッシュ帯となる。
藪漕ぎは浅く距離も短いが傾斜は強い。
最後に獣道を拾うと東尾根の頂上西側のコル近く、C
1320mに出た。

 

それにしても今日はなんて暑い日なんだ、
「疲れた!」
・・・頂上に着くと右股への継続が現実的なものには思えなくなってしまった。
「え〜い!」
何とでも言ってくれ、札内ヒュッテへの退却こそ今回のお盆山行にふさわしいフィナーレじゃないか。

長い東尾根を登山口に向かって重い体を運ぶと途中で雨まで降り出した。
「ああ、これで名誉ある撤退にはなったかな?」


 

0600 発−1810 590m二股 08301020 960m三股−1155 東尾根
1220ポンヤオロマップ岳 12451605 登山口着


 

参考グレード 3級〜3級上

 

(金澤弘明)