06年沢例会Bパーティ

ソエマツ沢ピリカヌプリ北西面直登沢

L柏本

M田中、栗山

 84日(金)

 「コリャだめかな」
 うちに現れたフラフラの田中さんを見たら誰もがそう思っただろう。
 朝から吐きっぱなしで水も受け付けない。
 そう聞いて最初に二日酔いを疑うのも僕だけではないだろう。
 仄かに敗退臭を漂わせながら、それでも栗山ハイエースは日高を目指す。
 翌日になっても回復していなかったら病院に連れて行くか、
それとも鍵を預けて車中に置き去りにするか。
 色々頭を巡らしていると、どうにも林道が長く感じる。
 それもそのはず。
「これってもしかして神威山荘?」
 それを聞いて急遽復活を遂げる田中氏。
 偶然だが見事な荒療治だった。
 ソエマツ林道分岐まで慎重に戻ると、ゲートが開いていた。
 崩壊個所は補修されており、かなり奥まで入ることが出来る。
 車輌到達最終地点を
C0とした。
 
4時間ぐらいしか眠れないな…って言ってるのについつい1時間も酒盛り。
 流石の田中さんもこの日は飲まなかった。
今日の核心?

 

85 日(土)晴れ時々ガス

 C0の前に大きく口を開けた崩落地点を自転車を担いで突破。
 入渓地点まではチャリで
15分程。
 道はかなり良かったが、
ここまで入られるなら栗山車を出してもらってまで自転車を使う必要は無かったかな?
 結果論だけど。


 入渓地点からはしばし河原歩きが続く。
 寝不足のはずだが、様子を見る限りみんな快調だ。
 田中さんも昨日の体調不良は完全に治ったらしく、
足首の調子もかなり良くなっている様子。

 2
時間程で574m二俣を過ぎた辺りから徐々に川幅が狭くなってきて、
沢登らしくなってくる。

 680m前後から函状になり始め、滝二つをいずれも右岸から高巻く。
 770m
二俣から、左俣に雪渓が見えた。
 右俣も少し進むと雪渓が出てくる。
 一部崩壊しており、雪渓上を抜けることは不可能なので、左岸を高巻く。
 高巻後の下降時に、今山行最初で最後のザイルを出す。


 沢に戻るとすぐに滝が出てくる。
 ここを田中氏、栗山氏は右岸を巻いていく。
 「山と谷」には「右岸をシャワークライミング」と書いてあったので、
柏本は無理矢理シャワークライミング。
 折角来たのに一度も濡れずに核心部(?)を過ぎるなんてのは、沢に対する冒涜だ。
 それにしても水が冷たい。
 全然難しくないけど、心拍数が下がって運動能力が下がっていく、
ここで落ちたら死ぬぞ、おい。
 いつも通り無意味に喚きながら突破。
 自己満足度
100点満点だ。
 この大滝を超えると
900m二俣に到達する。
 左俣に入るとすぐに大き目の滝が現れる。
 迷わず高巻だ。
 降り口に迷ったが、次にも大きな滝が見えていた(
2段の滝だったのか)ので、
そのままの高度で高巻く。
 後は雪渓の末端まで行ったら核心部は終了(の予定だった)。

容易なナメ滝

 04年に金沢さんが行ったという1190m右俣の「直登沢直登ルート」を横目に見て通り過ぎ、
12時、C1250m辺りで金沢Pと無線交信を試みるも繋がらず。
 後はさっさとピークを目指すか、とガレ沢を登っていくが、これがなかなかにいやらしい。
1箇所は、柏本が真中を直登しようとしたが、難しくて降りてきて右側を登り直す。
 田中さんは左側を岩登りしている。
 栗山さんは栗山さんで柏本断念の直登ルートを登りかけて、やっぱり右に回ってくる。
 協調性の無いパーティここに極れりだ。
 全員がリーダー気質、或いは単独行気質なのか?
 リーダーとしてはザイルを出すべきかどうか判断のしどころでもあったが、
「多分行けるだろう」という程度の考えで、結局問題なく行けてしまった感じだ。
 もう少し実力の無いメンバーがいたら、迷わずザイルを出すべきだろう。
 その後、やはり一ヵ所ボロボロで微妙な場所があった。
 柏本、取り付いたはいいがあまり進めず。
 オタオタしていると後ろで田中さんが左の草つき帯へとトラバースする踏み後を見つける。
 こちらもあまり気持ちよくは無かったが随分マシの様だ。
 落石に注意する為、二人に先に行ってもらってから降り、そちらの道へついていく。
 トップとは捨て駒と見つけたり、な瞬間だ。
 前を歩く栗山さんを追っていくと、視界がどんどん藪に包まれていく。
 今日も戦うぜ、ブッシュハンター。ピリカピークでテン張る
 出来るだけ沢から離れないように、右に右にトラバース気味に進むが、いつまで経っても藪やぶヤブ。
 やっと稜線に出た時にピリカヌプリがやたら遠く感じられたのは、薄く出始めたガスのせいばかりではあるまい。
 
更にピリカヌプリへ向かう途中も、左側の斜面に見つけた鹿道に踊らされる。
 必要以上のハイマツ漕ぎを楽しんでしまった。
 無駄に疲れたよ。

 ピリカヌプリピークに着いたのは14時頃。
 頑張れば今日中に
574m俣まで下れる。
 そしたらそこで焚き火が出来る。
 そんな誘惑にかなり揺れていた柏本だったが、
「昨夜3時間しか寝てねぇんだぞ」田中さんの「つるの一声」に我に返る。
 ピリカヌプリピークの立派なテン場で
C1とした。
 後は明るい時間から焼酎なんぞを飲むばかりである。


 

86 日(日)快晴

 3時起床。
 後は春別尾根を下るだけなのだが、この下りが核心というのは
3人の共通認識だった。
 金沢さんの記録の中でもルートファインディングが難しい、とあった。
 実際、全員で慎重に読図に取り組んでも、
深い薮の中、獣道に導かれれば、どんどん違う方へ行ってしまいそうになる。
 
C1,300mのマイナーピークを目印にしながら降りる。
 一瞬も気を抜けない。
 ふと見ると別の尾根上にいたり、隣に沢筋が見えてきたりしてやっと間違いに気づく。
 何度も目的の尾根に戻る為に熊笹トラバースを繰り返した。
 最終的には尾根の末端まで行けず、
C630m辺りで支流の沢へと降りた。
 滝よりは下の地点だったので懸垂の必要などはなく、まずまずの結果と言える。
 この後すぐに本流に辿り着き、そこからは来た時と同じ河原歩き。
 真夏を絵に書いたような快晴の中、積極的に水に浸かりながら自転車デポ地点へと向かうのであった。

 


※参考コースタイム

 ◆ 84

   18:00札幌発(札幌南より高速)〜22:00誤って神威山荘に到着〜23:30ソエマツ林道C0


 ◆
85 日晴れ時々ガス

   3:30起床 4:20行動開始(自転車) 4:40林道終点 4:50入渓 5:40 404m二俣

  〜 6:50 574m二俣 8:15 770m二俣 9:30 900m二俣 10:50 C1,050m雪渓末端

  〜 13:00稜線上 14:10 ピリカヌプリ頂上C1

 ◆8月6 日快晴

   3:00 起床 4:00 行動開始 5:50 春別尾根上のC1,300m 7:55 630m本流と分流の 

  出合辺りで沢に出る 9:10 404二俣 10:10 自転車デポ地点 10:25 車輌デポ地点