樺戸縦走〜試された読図力

2008年3月16〜17日 L大原 M石本・千葉

3月16日 5時半、大原宅に石本さんがやって来る、千葉さんと待ち合わせの下山口となる道民の森三番川入り口に向かう。6時45分、7時の待ち合わせなのでチョッと早かったかなと思いながら行くと千葉さんは既に到着していた。千葉さんの道具を大原号に積み込み、登山口になる札的内川に向かう。最終民家を過ぎた空き地に車をデポ。3人ともヤッケは着ない。超ベテラン石本、千葉はモモヒキ有りのオーバーパンツなし、チョッと若手の大原はモモヒキなし、オーバーパンツの脇全開のスタイル。ちゃっちゃと準備して出発。

しばらく、札的内川沿いの林道を進む。左岸から右岸に渡る橋があるはずだが、見落としたのか、落ちたのか?さて、現在地は?3人で協議し、まあまあ目星をつける。鳥越山に取り付く尾根はどこも急で、いたるところにクラックが入っている。チョッと強引かなと思って取り付いた尾根だったが、登ってみるとここしかなかったね。鳥越山山頂はポコポコたくさんのポコのひとつ。でも今山行最初のピーク、厳粛に記念撮影する。お天気が下り坂のはずが、全く良い天気で行き先が丸見えでありがたい。樺戸の山は谷が深く、下界に雲が湧くと、大変な高山に見えてとてもカッコウがいい。何度もアップダウンを繰り返して、隈根尻山が良く見えるところで大休止。大原は靴擦れ気味なのでここで本格的に処置する。千葉さんからメンソレータムをゴッテリ塗ると良いと教えてもらい、ついでに恵んでもらい、その上からテーピィングする。靴を脱いで素足になってもちっとも寒くない。

 隈根尻山からは待根山やピンネシリが良く見えた。隈根尻山から続く尾根の途中から待根山への下りは夏道のお茶目なタヌキの看板が案内してくれる。そこから先が今回最も読図の難しいと思っていたところだ。放射上に小尾根がのびているが待根山に続く尾根は1本だけ。視界がいいのでお気楽だが、まるで渡り廊下のような地形だ。p878mと待根山のコルは雪洞を掘るにうってつけの地形だ。早速スコップを振り下ろす。が…、硬い!とんでもなく雪が硬い。頑張って半分ほど掘ってギブアップ。テントを持って来ていてヨカッタ。エスパースゴアライト、新しいせいもあるけど大変よい。やはり3レイヤーだ。明日は、ピンネシリの下りが待っている、今日は下りの硬い斜面で苦労したので、明日の出発は1時間遅らせ、少し雪が腐ったところで、シールをはずして華麗に滑ろうと相談する。夜半から降雪がある。夜中、千葉さんが除雪してくれる。私は寝たフリ、ごめんなさい。

6:45道番民の森三川入り口集合(千葉車デポ)〜8:10札的内川最終人家出発〜9:15鳥越山東尾根取付き(200m)〜10:05標高点480m〜10:45鳥越山(568.6m)〜13:00隈根尻山(971.4m)〜14:30待根山南南東700m標高点878m付近C1

17日  下界はガス。ここはいい眺めだ。待根山の登りの途中でスキーアイゼンを着ける。さすが威力絶大サクサク登れる。待根山頂上はガス。下りは少し細くクネクネしている。ピンネシリの登り。スキーアイゼンのお陰で真っ直ぐ登れる。傾斜がゆるくなって来たが頂上(?)そんなに甘くないよと思っていたら、あれ〜頂上でした。風が強いので少し下りたレーダー基地の建物の脇でシールをはずし、小腹に入れる。さぁ〜!500mの下り、コンパス見ながら下る。夜中の降雪のお陰で、5cmほど新雪が積もって思ったより滑り易い。C800mまで下ると視界が開けてきた。この辺りからスノーモービルのトレースが入っていて滑りにくい。それでもご機嫌。今回私は悩んで悩んだ末、今年入れ込んだテレマークで来た甲斐があった。さて神居尻山への登りにまたシールを着ける。この辺りから尾根が細くなり、更にアップダウンが激しい。p946.7mの手前800mのコルでスキーアイゼンも着ける。細く急な尾根でルートファインディングに悩む。雪庇に阻まれ尾根にあがれない。しょうがなく斜面をトラバースするがスキーアイゼンの山側の爪をやっと食い込ませて進む。コケるとかなり下まで滑って行きそうで緊張する。やっと尾根に出てやれやれだが、視界が非常に悪いので、ピークごとに確認するp936mを過ぎて次の小さなポコを過ぎると、あれ、尾根がない?とりあえずここを下りて行くか。すると、後ろの石本、千葉から方向が違うと声がかかる。しかし、どこに尾根があるの?進むべき方向は切れ落ちた斜面だけ。千葉さんはコンパスをにらんでここに尾根があるはずなんだが…と奈落の底のような斜面を指す。私はその斜面を見て、そこは違うでしょう!と引かない。石本さんはあちこち見に行ってくれる。もう一度、現在地の確認できるp936mに戻る。そしてまた進むが尾根が消えてしまう。う〜〜ん。するとガスの切れ間に千葉さんがにらんでいた奈落の底の斜面の向こうに次なるポコが見えました!あった!ガスが濃くて、20mストンと落ちているのが奈落の底に見えたのでした。ここで1時間以上もロスをする。その先は少し視界も開け難なく神居尻山に着く。これから先は何度か来ているため気持ちも楽になる。しかし、斜面はますますガリガリで下りが憂鬱だ。稜線をc700mまで下り尾根におりる。この尾根は細く下りにくいので左手の沢に下りる。沢の上部は稜線の雪庇が崩壊したためか激しいデブリが広がっている。そのデブリをのり越えて沢の滑り易いところを選んで下る。沢が開いてきているので、左岸よりに下る。林道を横切りそろそろ川を渡らなくてはと思いながらも、川が出てこない。そうしているうちに川の向こうに道民の森の建物が見えるではないか!思った以上に左により過ぎた。がっくり来たが、すぐに悪知恵が浮かんだ。この先、橋があるから、このまま下ってしまおう。チョッとドキドキしながらも、お目当ての橋を見つけてやれやれ。こっちのほうが平坦で歩き易かった。 デポした千葉号にたどり着いたのは夕暮れ迫る17時過ぎだった。本日の行程、思ったよりも濃厚でした。

この山行は2年前の2月に大原成、千葉さん、大原圭で今回の逆コースで計画したが悪天で神居尻山までで敗退した。樺戸の山を見てはカッコイイと言っていた彼の思いを叶えたく、千葉さん、石本さんと強力なパートナーの協力を得て実行することができた。雪洞にこだわっていた彼の思いに反して雪が硬すぎて雪洞とは程遠いものになってしまったが、スノーソウを持参していれば完成させられたように思う。読図が印象的だった今山行。私はついこじ付けようとしたが、千葉、石本の冷静な判断には敬服するばかり。読図は科学、データの積み重ね。感情移入してはいけない。いい勉強になりました。

6:00起床〜7:00出発〜8:40待根山(1002m)〜9:45ピンネシリ(1100m)〜10:40標高620m最低コル〜12:40標高点936m〜14:10夏道分岐(880m)〜14:30神居尻山(946.7m)〜15:10標高点842m〜17:10道民の森三番川入り口                 大原 圭子