おじさん二人チャレンジ芦別岳?

L:小野T、M:栗山


 若い者には負けられん。

 そんな企画を持ち出したのは、ある岩場での小野T氏であった。
 柏本、谷チームが山中一泊で行った、芦別夫婦山行を一日でやろうと言うのである。
 体力に自信の無い私は、少し尻込みしたが、なぜか

“行きましょう!”

と言ってしまったのである。

 かくして、旧道〜夫婦日鋼室蘭ルート〜本峰西壁カフカズルート〜新道のワンデエイアタックが決まったのである。


 

 土曜の夕方、おじさん二人は連れだって太陽の里に到着、ハイエース号でC0。
 キャンプシーズン真っ盛りで家族連れが多い中、
駐車場のワンボックスの中でおじさん二人が酒を飲んでいる姿は、かなり怪しかったと思う・・・・・。


 翌朝、3時半起床。
 まだ薄暗い中、虫取りに興じる子供らが・・・
 明るくなるのを待って旧道登山口へ徒歩で移動。

 天気はどんより曇り空。
 私にとっては昨年の岩例会以来の二度目の芦別で旧道は初めて。
 道は悪いがロープ等、よく整備されている。
 ユーフレ川の脇を登ったり降りたりがしんどく、
昨夜のモノ?まで込み上げてきて、調子が悪い・・・。
 なんとかユーフレ小屋分岐に着く。
 ペースはだいぶ遅いようだ。
 沢水を補給して出発。

 どんどん登ってやっと夫婦日鋼室蘭ルートの取り付きに到着。
 登山口から3時間半もかかってしまった。
 すっかりガスっていて、岩の全景は見えない。
 岩も少し湿っているが、登はんの準備を始める。
 大学生らしき二人連れが来て、昨日は大雨で登っている途中で撤退したそうだ。
 今日はそんな事にならなければいいが・・・・


 せっかくなので、核心の1ピッチ目をリードさせてもらう事にした。
 少し登った所で新しいハーケン。
 ヌンチャクを掛けて行こうとすると、武さんから“引っ張ってみろ!”と声が。
 思いっきり引っ張るとハーケンが動いた・・・危ない危ない・・。
 ハーケンを打ち直して再出発。
 なんか体の動きが悪い。
 武さんから“荷物下ろそう!”と声が。
 ちょっと意地を張ろうかとも思ったが、素直に一度クライムダウン。

 荷物を置いて再挑戦。
 体の動きが見違えるようにいい。
 武さんの正解だ!
 その後は多少支点の取れない所があったが、それほど難しくは感じない。
 20メートルほど上がると傾斜が落ちてきて、岩が濡れてきた。
 草付きもとても滑る。
 なんとか1ピッチ目終了点までたどり着いた。
 武さんがフォローで上がってきて、第一声、“降りよう!危ないわ!”
 この先岩はますます濡れていそうなので、ちょっと悔しかったが、降りることにした。
 まあ、核心は登ったって事で・・・・・

荷物をまとめ、夫婦から旧道へ戻る沢を詰める。
 武さんの
“この沢間違うとヤブ漕ぎ大変になるんだよね、気をつけないと!”
と言う予言??通り、1時間のヤブ漕ぎを経て旧道に出る。武さ〜ん!!

本峰に向かって歩き始めるとまもなく、ガスが晴れ始める。
 周りの山々が姿を現しだした。
“歩くときは晴れると暑いよな〜”、などと勝手な事を言いながらどんどん歩く。
 夫婦上部を省略したおかげで、だいぶ早く本峰西壁に到着した。
 すっかり晴天の草原で一休み・・・。

 ぼちぼちカフカズルートの取り付きへ向かう。
 ガレガレの坂を下る。
 危ないので離れてゆっくり下った。
 3ピッチで核心が3ピッチ目と言うことで、1、3をリードさせてもらう事にする。
 武さん!私ばっかり楽しんでごめんなさい!


 1ピッチ目は簡単でほとんどランニングを取らずに行く。
 しかし意外と足にきている事に気が付く。
 あと10コールで適当な木を探す。
 その時、木の下にあった岩に手を掛けると、岩がずり落ちた!
 体と手でなんとか止める。
 しかし、それ以上持ち上げる事も、ずらす事もできない。
 ヤバイ!だいぶ横にトラバースしたので真下には武さんはいないはず・・・。
 大声で岩を落とす事を武さんに伝える。
 体をよけた瞬間、ロープにひっ掛からないよう、ロープを上げた。
 ものすごい音をたてて岩が落ちて行った。
 武さんの無事を確認、一安心。
 でも後で聞くと、破片が飛んできてヤバかったらしい。
 なまらヒヤリハットである。

 2ピッチ目、武さんが行く。
 小さい岩が落ちてくる。
 すごい風きり音をさせて飛んでいく。
 ビレーしながら岩陰に隠れた。
 このルート危なくない?って感じです。

 
 3ピッチ目、核心です。
 支点も沢山ありいい感じ。
 しかし、けっこう足にきているようで体が重い。
 慎重に登る。
 最後、ルートを左に取りすぎたようだが、キャメを決めて稜線上にでた。


 稜線上を一応確保しながら、本峰ピーク到着。
 落石やらで取り付きから2時間もかかってしまった。
 まあ、これがアルパインって感じですかね・・・


 少し休み下山開始。
 下りはいつもの膝痛との戦いだ。
 ストックを突きながら慎重に行く。
 暗くなるギリギリの時間なので、休まずがんばって下る。
 なんとか下山した頃にはすっかり薄暗くなっていた。


 こうして、明るい時間帯いっぱいを使って、
おじさん二人の挑戦?は無事終了したのでした。
次の日、仕事にならなかった事は言うまでもない・・・

                                  (記:栗山)

 

<タイム>

 

330起床〜415行動開始〜445旧道登山口〜610ユーフレ分岐〜

710夫婦分岐〜815夫婦取り付き〜1030旧道へ向かう〜1130旧道

1300本峰西壁〜1430カフカズ取り付き〜1630本峰ピーク〜

1700新道下山開始〜1920新道登山口