北日高・伏美岳(北面直登沢)

 

ニタナイ川伏美岳北面直登沢〜夏道下降

 

2008年8月9〜10日

金澤弘明 千葉芳弘 金澤菜美子(会員外)

 

 HPに山行案内を出していたら、横で見ていたうちの奥さんが「私も行っていい?」と聞いてくる。どうやらエサオマン以来、18年振りの山に目覚めちゃったらしい。「そんなに難しくはないだろうし、気楽な山行のつもりだから、いいんじゃない」と答える。直前の掲示にもかかわらず、千葉さんから速攻参加の返事あり。さすが皆勤賞。

918時過ぎ、予定通り千葉さんが到着し日高を出発。登山口の駐車場には2030分に到着しテントに入って軽く一杯。林道は良く整備されていた。

 

 ピパイロに向かうのだろう、夜も明ける前に単独の登山者が車で来て出発する。

夏道を100mほど入った水場の小沢を10分ほど下って本流に出る。本流は河原がないため少し歩きづらいが、緑の苔がついてそれなりに風情がある。1Pで830m二股に到着。右股は20m位の急な滑滝。進む左股も6mほどの滑滝になっている。ここから沢の様相が一変し、1160m二股まで大小の滑滝と滑床、小滝が連続して非常に快適だ。10m未満の滝がいくつかと、大小の滑滝が連続して現れ、その間をやや傾斜の強い滑床がつなぐ、といった感じで、悲愴感のない明るい渓相だ。全体としては北日高によくあるナメ系の沢だが、出てくる滝はそれぞれに変化があって美しく、適度な難度で面白い。まさに初〜中級者にピッタリ、という感じだ。「楽しい〜!」を連発しながら遡行していく。千葉さんも「ちょうどいいね」と楽しそう。

 1160m二股で7m程の滝になっている左股を行くと沢は小さくなり、時々あらわれる小滝を適当に登っていく。1390m二股を左にとり、小さな残雪が残る1440m二股を左に入ると、沢はややガレたルンゼ気味になり、間もなく水も涸れる。C1670mで沢型は消え入りそうな二股状になり、どちらを行っても藪漕ぎは必至。左か右か迷ったが、右をとる。はっきりした獣道というほどのものもない。強烈と言うほどではないが、そこそこの藪を2030分漕ぐと稜線に出る。

頂上西の肩から北北西に伸びる支稜のC1760m付近に出たようで、ここからはハイ松と格闘することになった。背丈ほどもあるハイ松の尾根で、パワーのないうちの奥さんが急に遅れだす。たった5060mの距離なのに頂上到着は15分遅れ。

 

 伏美頂上からはトッタベツ川上流に展開する大展望が拝めるはずだったが、残念ながら雲のなか。他の登山者と雑談など交わし山頂でゆっくりする。予定の北西面の沢下降は放棄して、夏道を下ることにする。夏道は良く手入れされていて歩きやすいが、いかにも日高らしく急な尾根を直登している。少し膝は痛んだが1時間45分で駐車場に到着、中高年Pにしてはなかなか優秀? 駐車場に立つ「伏見岳」登山口の看板はピッケルヘッドの飾り付きでなかなかカッコ良い。入山時は夜で見落としてしまった鉄骨造りの伏美岳避難小屋を見学してから、新嵐山荘へ向かう。

 

 北面直登沢は上部で少しブタ沢化し、そこそこの藪漕ぎもあるが、中流部の滑は適度に緊張感があって楽しい。札幌からも比較的近く良い沢だと思う。遡行者もそれなりにいるようだ。地形図の「美」の字に隠れて詰めの読図が難しく、それが藪漕ぎが長くなった原因かもしれないが、最後の二股を左にとれば直接頂上に出ることができるだろうと思う。

 

 0605 行動開始−0720 830m二股−0835 1160m二股−1050 頂上 11401325 登山口駐車場

 

参考グレード ニタナイ川伏美岳北面直登沢 2級

 

金澤 弘明