北日高縦走

H15.7.19〜21

L 三佐川  M 千葉 比内

7月19日 くもり時々晴れ

 札内川は昨年までは7の沢出合の手前まで車が入ったのだが、今年は手前のゲートが閉じられており30分余計に歩かなければならない。林道脇の駐車スペースにはすでに十数台の車があり本州ナンバーも目立つ。(翌日はなんと50台も停まっていたらしい)あらためてカムエクの人気の高さを実感。
 8の沢出合までは、はっきりした巻き道が至る所にある。記念沢を右に見て9の沢を過ぎ10の沢へと入ると、やがて斜度がきつくなりぐんぐんと高度をかせぐ。
十の沢を登る。
中小のナメ滝が続くが、いずれも難しくはない。cont1300あたりで二股が出てきたが左股が水が涸れていたので右股に入ったが、結果的には左股が正解だった。源頭付近でカールから右へ離れてしまっため左へと軽いやぶ漕ぎをして大岩が堆積するガレ場に出た。ここで300mほど離れたカール壁で悠然と草を食んでいる熊を発見。ガレ場を直上して左へ行くと誰もいない10の沢カール。雪渓から冷たい水が流れ快適なテン場となる。

9:50(車止め)−10:18(7の沢出合)−11:35(8の沢出合)12:00−14:25(10の沢出合)14:45−18:00(cont1590 10の沢カール)

7月20日 晴れ

 朝から文句なしの快晴、しかし暑い。春別岳のすぐ西のコルに突き上げる急なルンゼを登る。千葉さんは持病の腰痛のため朝イチの急登は辛そうだ。ひと汗かいたところで稜線へ出た。北にはこれから目指すエサオマントッタベツ岳、南には本日の最終ピークの予定であるカムイエクウチカウシ山がドーンとそびえている。幌尻も1839も見える。北・中日高の山並みが実に美しい。それにしてもここからエサオマンを往復してカムエクまで行き、さらに8の沢カールまで本当に今日中に行けるのか?
はっきり言って計画が甘かったかもと反省。サブザックに食料と水などを詰めて出発。千葉さんは軽量化のため空身である。1831のナメワッカ分岐を越えたところで左下のカールにまたも熊を発見。千葉さんは、今まで山で一度も熊を見たことがなかったが、今回だけで2度も見たといって喜んでおりました。今回歩いた稜線はハイマツで歩きにくい部分はあるが、踏み跡を見失うような所もなく、日高の主稜線としては比較的快適な方だろう。
エサオマントッタベツを目指す。
しかし暑さのためペースは上がらない。おまけに比内が水を持ってくるのを忘れたため、私のポリタン1,5Lでなんとかしなければならない。1751の手前で夫婦のパーティーとすれちがう。札内川11の沢をつめてきたということだが、ご主人のザックがやたらと大きい。これじゃ大変だと同情申し上げる。ヘロヘロで札内分岐へ。千葉さんは先週、エサオマントッタベツ川からエサオマンに登っているのでここでひと休み。2人でエサオマンのピークへ。ア〜思いっきり水が飲みて~。それにしてもハエがやたらとうるさい頂上だ。札内分岐へ戻り千葉さんと合流し、来たルートを引き返す。1760で残った水を回し飲みしてポリタンが空になった。ナメワッカ分岐へたどり着くと、なんとさっきの夫婦が休んでいる。体力不足とザックが重過ぎて一時間登って一時間休むペースだと言っていたが、これでは予定の8の沢カールはとても無理だろう。もう我々の頭の中は水、水、水、早く水が飲みたいそれだけだ。やっとの思いでデポ地点へたどり着き、それぞれデポしておいた水を思いっきり飲む。う〜生き返った。重いザックを背負って14:20行動開始。  この時間では8の沢カールはおろかカムエクにも届かない。1917を越えて1732のコルから9の沢カールに降りてC2で意見が一致。あいかわらず暑さでペースが上がらない。1791を越えてコル(1750)まで来ると左手に規模は大きくないが雪渓が残っているカールが見えた。地図で確認すると、カールから東へ下ってゆくと9の沢に合流できそうだ。カールへは標高差150m,草付きの急なルンゼだがなんとか下れそう。よし降りるかとザックを背負おうとしたところ、比内がまたまた熊を発見。我々が下るカールの右上で動いている。大声を出すとしぶしぶヤブの中へ移動していった。足場の悪いルンゼを慎重に下る。斜度が落ちたところで念のため爆竹を鳴らす。水場のそばに平坦地を見つけテントを張る。それにしても暑い一日だった。疲れのため酒も進まず7時過ぎに就寝。

5:20(C1)−6:02(春別岳手前コル)6:25−8:05(1760)8:25−9:25(札内分岐)−9:50(エサオマントッタベツ岳)10:00−10:25(札内分岐)10:35−13:40(春別岳手前コル)14:20−15:20(1750コル)15:40−16:15(cont1580 カールC2)

7月21日 くもり一時晴れ

 涸れ沢をぐんぐん下っていくと45分で9の沢に出た。特に変化のない沢を下っていくとcont980で函状地形となり滝が行く手をはばむ。巻き道があるだろうと少し戻って左右を確認するがそれらしきものは見当たらない。両岸ともかなり立っており厳しい高巻きを強いられそうだが、地図をみると右岸から巻いて核心部を越えたあたりでルンゼを使って沢へ降りれそう。右岸からブッシュへ突入。しかしホールドとなる潅木があまりなく、けっこう緊張させられる。30分ほど巻いたところで岩棚状のところに低木に残置したシュリンゲを見つけた。ここから沢に懸垂下降したらしい。これ以上先へ進むのは難しそうなので、我々もここから下降することにするが、この低木、下に力を加えると根がググッと持ち上がり冷や汗もんだ。しかし他に支点もとれないので空身で降りることにして千葉さん、比内の順で降り全員のザックを降ろしてから三佐川が降りホッと一安心。まだ滝は続いているがハーケンが打ってあったのでそれを使って懸垂下降。結局、核心部を抜けるのに4回の懸垂下降をして3時間もかかってしまった。帰ってから「北海道の山と谷」を読むと、なんと巻き道があり簡単に通過できるとあるが信じられん!やがて本流にぶつかると昨日の夫婦が休んでいた。結局、春別岳から10の沢カールに泊まったが、至近距離で熊に遭遇したと興奮してしゃべっていた。
 結果的には、今回は予定の半分ほどしかこなせなかったが、計画自体に無理があったのが敗因だろう。いくら荷物が軽いといっても春別岳〜エサオマンのピストンは時間的にロスが大きすぎる。11の沢の記録を見つけることができなかったので10の沢を使ったのだが11の沢は困難な所がないことが分かったのでエサオマン〜カムエクは11の沢を使うのが正解だろう。
 来年 リベンジする?

6:30(C2)−7:15(cont1255 9の沢)7:25−12:05(札内川本流)12:35−15:10(車止め)

記 三佐川


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