チロロ川二岐沢四ノ沢〜三ノ沢(下降)
2002年7月27〜28日
L金澤弘明 大原成雄 中間素子
チロロ川水系(チロロ川・ポンチロロ川・二岐沢)のバリエーション的な沢としては二岐沢三ノ沢が知られていただけで、
他の沢についてはこれまで具体的な記録等を目にしたことは無かった。
02年シーズンはこの山域と決めていた。
7月27日
北電二岐取水口から二ノ沢出会いまでは北戸蔦別岳への一般道で、ここから入渓する。
四ノ沢出合いまでは河畔林の中のブル道の痕跡と獣道をつなぎ、1時間半ほどで到着する。
四ノ沢は予想以上に水流が細く、押出しのチンケな出合いだ。
出合いから間もなく10mの滝があり、簡単に巻けるが大原リードで直登V−。
すぐに長さ60〜70mの雪渓が現れどん詰まりの右に大滝が見える。
大滝は大きなバンド状テラスで上下に二分され、それぞれ30〜40mの落差がある。
左岸ベルクシュルンドの潰れたところからノーザイル15m程でテラスに上がる。
上段はほぼ垂直で左右どちらも巻けそうにない。右岸水流脇を直登することにする。
金澤リード、ハーケンの効きが悪く2本ずつ固め取りするがアテにはならない。
けっこう時間が掛かった。
フォローの大原は「全然やさしい」と言う。
「う〜ん、踏ん切り悪いんだわ」37mW+。
1240m二股は左右の股が二条滝となっていて左股に入る。
ここから原頭までは2〜4mの小滝が息つく間もなく連続し数え切れない。
全て快適に直登して行ける。
詰めは開けた草本帯に露岩が点在する美しいところで、藪こぎも無く高揚した気分で国境稜線に飛び出す。
稜線に出る時の感動と幸福は日高ならではのものだ。
時間もあるので1967m峰を往復し、P1910直下、十勝側の草地にツェルトを張る。
二岐取水口04:45−二ノ沢出合い05:30−四ノ沢出合い06:55−大滝落口09:50
−国境稜線13:35−1967峰15:00−C1 15:30
7月28 日
下降ルートの三ノ沢は北戸蔦別岳直下の三ノ沢カールを原頭とするが、最短コースを目指しP1856から直接下る。
P1856頂上は広く、良いキャンプ地である。
ハイマツが潅木に変わり藪こぎが厳しくなってきたC1700m付近で沢形となる。
C1300mで水量の多いカールからの沢に合流するが、C1180m屈曲部までは何も無い単調な沢だ。
ここからC1030mまでが三ノ沢の核心部だ。
幾つか滝を下ると間もなく大滝の落口となる。
滑り台状のナメ滝脇を潅木をホールドに少し下り、右岸を38mの懸垂。
半分は空中懸垂になる。
大滝は上部のナメ部分を含めると約50mの落差があり、取付きは20m四方ほどの広場になっていて浅い釜を持っている。
さらに釜から直接チムニー状の滝が落ち小さなゴルジュ地形なっている。
右岸を少しトラバースしゴルジュの中へ20mの懸垂。
さらに古いフィックスロープが残る10mを懸垂して核心部は終了となる。
C1 05:35−P1856m06:05−C1180m08:20−C1030m11:00−三ノ沢出合い11:20−二岐取水口
参考グレード 3級下(四ノ沢)
(金澤弘明)